「孫子の兵法」からプロジェクト管理の成功について学べること

5 つの成功要因への入門

孫子「The Art of War」

「孫子の兵法」は戦略について書かれた、最も読み継がれ、最も古い書物の一つです。一見すると戦争について論じた書物ですが、その多くの戦略は、プロジェクト管理をより成功へ導くためにも応用できます。

本記事シリーズの第 1 回では、プロジェクトの成功を確かなものにするために注視すべき 5 つの指標を取り上げます。

「戦争は国家にとって重大な事柄であり、
生死を分け、
国家の存亡を左右するものである。
いずれにせよ戦争は、
慎重に検討されなければならない事柄である。」
訳は H. Eisenhofer による

「孫子の兵法」は、紀元前 5 世紀に中国の将軍である孫子によって書かれました。彼の生きた時代において、戦争は残酷で、費用がかかり、痛みを伴う事柄であり、それゆえに、どうしても必要なときにのみ行われるものでした。そして必要となったときに成功を収める唯一の方法は、人命が犠牲となるその戦争を、徹底的に研究することでした。

IT プロジェクトを管理する方には、この比較はやや大げさに感じられるかもしれません。しかし、よく見ればそれほど的外れではありません。どのプロジェクトも、私たち自身と、私たちが働く組織から大きな代償を求めます。私たちは資金、人材、評判、善意、その他多くのものを費やし、ときには仕事以外の生活までも費やします。

私たちは皆、忙しく見せるためだけにプロジェクトを進め、その結果として大きな破綻を生み出す人と働いた経験があります。最終的に、そうした担当者はたいてい解雇されます。

プロジェクトに取り組み、本来であれば他の場面で競争上の地位を高めるために投入できたはずの会社の各種リソースを使い、本来であれば家族と過ごせたはずの時間を投じるのであれば、なぜそれを行うのかを、ご自身が明確に理解しておくべきです。自分が何をしているのか、どのように成功を実現するのか、そして最初の三つの想定が誤っていたと気づいたときにどうするのかを、確実に把握してください。

5 つの成功要因

孫子は、戦争という決断は軽々しく下すべきものではなく、戦いから勝利を収めるためには綿密な研究が重要であると強調したうえで、彼の考える戦争について知っておくべきことを述べています。

孫子は 2500 年前に、戦いにおける成功にとって重要となる 5 つの要因の一覧を作り上げました。

5 つの成功要因のわかりやすい解説は、Gary Gagliardi による英訳に見られ、こちら で入手できます。ドイツ語訳をお好みの方は、こちら でご覧いただけます。

Gagliardi の解説は、どちらかといえば営業やビジネス全般に向けたものです。プロジェクトマネージャーにとって、5 つの成功要因は次のように理解できます。

: 相手の理念
: 政治的な環境
: 組織の構造
: マネージャーの指導力と意思決定の質
: 道を運用する際の効率と実効性

孫子によれば、これら 5 つの成功要因は、相手に対してだけでなく、自分自身に対しても見極めなければなりません。それができ、活用の仕方を理解する者は成功します。逆に、5 つの成功要因を理解しない者は、決して成功することはできません。

5 つの成功要因がプロジェクト管理にとって意味すること

5 つの成功要因を日々のプロジェクト業務で応用しやすくするために、順序を改めて並べ替え、考えるための問いを添えました。

: 組織の構造はどうなっており、誰が誰に報告するのか。

: 政治的な権力構造はどうなっているか。組織図とは別に、影響を及ぼし物事を実現させる本当の力を持つのは誰か。そして、おそらく最も重要なこととして、あなたの仕事を妨げる力と動機を持つのは誰か。

: 一緒に働く組織や人々の指導スタイルはどのようなものか。非常に指示的なスタイルのリーダーもいれば、より外交的なスタイルや分担型の指導を取るリーダーもいます。

: 組織は自ら定めたプロセスをどれほど厳格に守っているか。多くの PMO には逸脱すべきでない明確なプロセスがありますが、それでも規定は、従われたり状況に合わせて調整されたりするよりも、回避されてしまうことが少なくありません。

: この要因はしばしば捉えにくいものです。私たちの文脈では、道はその場所の本質、性格、エネルギーを指します。意欲ある チームの創造性と自由を重んじる組織もあります。一方で、社員に 9 時から 5 時までの勤務を求めながら、深い内面的な関与を求めず、新しいアイデアを生み出し業務プロセスをより効率的にするために問い直す批判的思考を評価しない企業文化を持つ組織もあります。

まとめ

これらの古くからの成功要因の考え方を理解し、ご自身の仕事に応用する方法を学ぶ時間を取れば、プロジェクトで必要な意思決定をより的確に下せるようになります。

本記事シリーズの次回では、成功要因を活用してプロジェクトを成果へ導く方法を、より詳しく見ていきます。


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